明日、僕は18歳になる
今日にはあって明日にはないもの、今日にはなくて明日にはあるもの。
今、僕は船着場に立っている。
出航の合図は明日の午前0時、一度出航したが最後二度と戻ることはない。
便は遅れもせず早まりもせずきっかりと18年を刻む。ぐだぐだしてる時間はない。急いで乗らないと。
チケットを持っていないで乗船できるのかと不安がよぎったが、なぜかもう予約済みらしい。どうやらチケットは生まれた瞬間に取られていたみたいだ。
そういえば背負ったリュックサックに忘れ物はないだろうか。いや、むしろ重すぎやしないか。何が入っているのかも分からないが歳を取るごとに肩の荷は重くなっている気がする。
いつの間にか用意されていた旅のしおりを眺めてはみるものの真っ白で何の役にも立ちやしない。最後のページのメモ欄にやりたいことリストでも作っておくか。
思えば18年という年月はあまりにも長かった。
ある時は笑い、ある時は泣き、希望に胸踊り、絶望に打ちひしがれ、それでも18年間、1日たりとも欠かさずに1日を過ごしてきた。
未成年、人生皆勤賞である。
立つことも喋ることもできなかった状態から、1人で歩き言葉を話し人と関わりそしてこうして自らの心境を文字にして伝えることが出来る 、目まぐるしい成長といえよう。
しかしそんなことはもう過去のお話、誰が決めたのかも知らないが、出航は18年後と生まれた瞬間に決められた以上、明日がスタートラインだ。
操縦士もいない、エンジンも付いていない、時の風向きと自らの舵捌きのみを頼りに荒波をあてもなく漕ぎ進む旅が始まる。
いくら船が壊れようと、沈ませてはくれない。溺れようが何だろうが、命尽きるその時まで進み続けるしかない。
ある人はこれを見て笑うかもしれない。所詮は人生の1日にそんな大袈裟なと。
けれども僕にとってそれはとても大きな出来事で、全くの未知の世界への第一歩なのである。
振り返って、あの時はまだ若かったなと笑える日がくることを信じて。
青春発墓場行、途中下船不可
2023/10/25
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