【suggest】頭が良いってデメリットじゃない?
頭がいいってどういうことでしょうか?
計算が早いこと?テストの点がいいこと?世渡りがうまいこと?
人によって様々な「頭のいい人」のイメージがあると思いますが、「頭がいい=○○」という絶対的な答えを出せる人はそう多くないでしょう。
これが「サッカーがうまい」なら、シュートやディフェンスが上手なんだなと簡単にわかりますが、「頭がいい」という言葉は具体的に何ができるのかをあまり教えてくれないのです。
そんな不思議な言葉「頭がいい」について今日は考えてみようと思います。
知識と思考
大まかに分けると「頭がいい」には2種類のタイプがあります。
それが知識量が多いタイプと、思考力が高いタイプ。
例えば「日本で1番高い山は?」と聞いて答えられるかどうかは思考力ではなく知識の有無で決まりますが、「主人公の心情を答えなさい」といったのものなら思考力で決まりますね。
この2つのタイプ、どちらも「頭がいい」条件になるのですが、ずいぶん性質が違ったものになっています。
知識量
・努力をすることで容易に手に入る
・誰でも同じ知識を手に入れられる
・テストではよく問われる
・思考のベースとなる
思考力
・決まった方法で手に入るものではない
・人によって違った考えをする
・日常生活でよく使う
・知識をベースとするため単体ではあまり役に立たない
上の項目を見てもらえるとわかるかと思いますが、知識というのは誰でもいつでも同じようにつけられるのに対し、思考力は環境や経験によって決まるため個人差が大きく絶対的な評価はしづらいものとなっています。
こういった理由から、テストで問われるのは知識ベースの問題が多く、もちろん思考力も必要ですがそれ単体を測ることは非常に難しいと言えます。
その一方、現実世界では1問1答の問題などほぼないため、知識をうまく使う思考力がより重要になります。
つまり、テストが得意だからといって、すなわち「頭がいい」ように見えるからといって仕事をする際に優秀かどうかはわからないのです。
ところが周囲の人から見て頭がいいかどうかを判断するとなると、最もわかりやすい材料はテストの点など絶対評価を見ることになります。
これでは知識があるかどうかは分かってもそれは実用性に繋がるとは限りません。
評価と実力
では、他の人から見て「頭のいい」人というのは、うわべの知識だけで、思考力はない人ばかりなのでしょうか?
実はそうとも限りません。
というのも知識は思考力がなくても手に入れられますが、思考力は知識なしでは何の役にも立たないため、思考力の高い人は知識もある程度つけている可能性が高いと考えられます。
しかし、これは思考力が高い=知識が多いということを表しているわけではないのです。
思考力の高い人は、少ない知識でも組み合わせて多くのことを解決することができるため、むやみやたらに多くの知識をつけようとはせず、必要ないと感じたことは切っていく傾向があります。
ところが一般人に他の人から見てわかるのは知識量であって思考力ではないので、他者からは頭の良さを認識されづらくなってしまうのです。
それでもなお多くの知識を付けている人はいるので、そういった人は見た目通り頭のいいこともあります。
少し抽象的な話になってきたので例を挙げて見てみましょう。
クイズの時間
それではいくつかのクイズを出しますのでみなさん考えてみてください。
1.北海道の年間平均気温は何℃ですか?
2.那覇市の年間降水量は何mlですか?
3.大阪府の人口は何人ですか?
さて、わかりますか?
1,2は正確に当てられる人ほとんどいないでしょう。
3はかろうじて万の位ぐらいならわかるかもしれませんね。
では答えを
1.10.2℃(2021年)
2.2161.0ml(1991〜2020年)
3.8784113人(2022.5.1時点)
どうですか?誤差1割程度なら正解としていいでしょう。
2問以上当てられた人がいたらかなりの地理マニアなんじゃないでしょうか?
ほとんどの人が1問あるいは1つも出来なかったかと思います。
ではこちらの問題はどうでしょうか?
1.沖縄県と北海道で年平均気温が高いのはどちらでしょう?
2.東京の人口は1000万人より多い?少ない?
3.和歌山市と高松市、どちらの降水量が多い?
この3問ならわかるんじゃないでしょうか?
答えは
1.沖縄県(年平均は23℃程度)
2.多い(1400万人ぐらい)
3.和歌山市(約1400ml、高松は約1150ml)
どうでしたか?
3問解けた人も多いんじゃないでしょうか。
では後半の問題の解説をしていきます。
1問目は沖縄県と北海道の平均気温を両方覚えているなら確実に解ける問題ですね。落とすことのないよう数値はしっかり覚えておきましょう。
2問目は、東京都の人口が1396万人、1396>1000より多いが正解となります。1396万人を覚えていないなんて人いませんよね。
3問目は降水量を覚えていますかという問題です。1400と1150のどちらが大きいかもしっかり理解しましょう。
皆さんわかりましたか?
「こいつは何言っているんだ?」と思ったそこのあなた、素晴らしく正常な感覚です。
北海道より沖縄の方が南にあるしあったかいに決まってます。
東京の人口が何人かは知りませんが大阪より多いんだから1000万人ぐらいいるでしょ。
香川は瀬戸内海、和歌山は太平洋に近いからきっと和歌山の方が多いんでしょう。
たったこれだけで全てわかる問題です。
要するに、大体の状態を知るために具体的な数値を知る必要なんかないのです。
これが思考力の力です。具体的な情報を知らなくても知っていることから大体の答えを予測出来るわけですね。
思考力の高い人はこれをさらに高次元でやってきます。「明日の天気」だったり、「目の前の相手の行動」なんてことも平気で予測してくるのです。
一方最初の3問はピンポイント知識無しに解くことはほぼ不可能、なおかつほとんど実生活必要になることの無い問題となっています。
こういった問題はもちろん思考力では太刀打ちできません。
ところが学校のテストで聞かれるのは上の3問のような問題が多く、「この数値出るから覚えとけよ」と言われてしばらく後に答えさせられる訳です。
これは絶対評価をしないといけない以上、仕方の無いことではあるんですが、最高に無意味ですね。実際の生活で使える力なんてほとんど測れません。
こう言ったことを思考力の高い人は覚えようともしないため、能力の割に評価されない事態が起きてしまうのです。
思考力に苦しむ人たち
思考力が高い人が評価されづらいことは分かって貰えたかと思います。
せっかく実社会で役に立つ力にも関わらず、それを見抜く方法が少ないため過小評価されがちになってしまう訳ですね。
しかし思考力の悲劇はこれだけではすみません。
思考力が高いということは、それだけ他の人より早く、多くのことを考えられるということに他ならない訳で、それは多くの人と話が合いづらいことを意味します。
他の人が徒歩で進む中、1人で新幹線に乗ってるようなものですからね。
そして、無理に話を合わせようとすると、時速4kmで新幹線を動かすというバカみたいなことをするか、みんなが新幹線に乗ってくれることを祈るしかありません。
要するに自分の努力では何も解決せず、自分が手を抜きまくるか、周りに期待するしか出来ることがないのです。
これは想像を絶する辛さがあります。なんといってもわざと手を抜き続けるというのは難しいことで、自分から自分に手錠をかけるみたいなことをしないといけないんです。
まとめると、思考力が高い人は、
・周りの人と話が合わない
・合わせようとすると自分から手を抜かないといけない
・実力を発揮してしまうと、誰にも理解されず知識の豊富な人に比べ劣って見られる。
という散々な目にあうわけですね。
そうして得られる物は、情報処理の上手さや、独創的な発想力ですが、これらは他の人に見せても理解されづらいポイントであり、やはり他者との関わりにおいてはまた強みにはなりづらいのです。
最後に
自分では賢いと思っているのに、周りからなかなか評価してもらえないと思っている人は沢山います。
そしてそういう人は思考力が高いというただそれだけで、何故か対人関係が上手く行きづらいというハンデを抱えることになっているのです。
「頭がいい」人の中でも、「思考力の高い」人は、一見素晴らしい力を持っているように見えて非常に息苦しい生活を強いられているのかもしれません…
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