【suggest】世界で1人しか使えない言語に意味はあるのか?
おく ら かり たぶ ち
さてこの文章はどんな意味があるでしょうか?
謎解きではありませんよ。
…
…
答えは「私は野菜が好きだ」でした!
まあ今僕が考えた言語なので分かるわけがないんですけどね。
一応「おく」が私、「かり」が好き、「たぶ」が野菜という意味になってます。他は助詞ですね。主格がら、目的格がちです。
さて、この言語を見て皆さんはどう思うでしょうか?
今作ったばかり、僕しか読めない言語に何の意味があるのかと、そもそもこれで答えとして納得できるか、と思う人が多いかと思います。
ところが本当にそうなのでしょうか?
言語の存在意義とは
言語というのは非常に便利なものです。
心の内など全く読めない人同士が言葉を通じて伝えたいことを伝えられるわけですからね。
この点において、言語というのは「コミュニーケーションをするため」にあるということができます。
ここまでなら誰でも分かるわけですが、言語の持つ力は実はこれだけではありません。
さて、皆さんなんだと思いますか?
…
…
実は、言語には他に「コミュニケーションの阻害」という力があるんです!
言語が人を遠ざける
そもそもなぜ日本では日本語が通じるのか。
それは日本語を聞いて育った、あるいは日本語を学んだなどで日本語を話せる人が圧倒的多数だからです。
当たり前のことですがアメリカや中国で日本語をいくら囃し立ててもわかってくれる人はごく少数でしょう。
ここで先ほどの話に戻ってみると、言語は「コミュニケーションのツール」だと言いましたが、それは当然その言語を話せる人の間だけでの話です。
想像してみてください。あなたの身の回りの人が突然みんなアラビア語で話し始めた世界を。
当然あなたはとても困るでしょう。周りに何も伝えられないのですから
(もしアラビア語喋れる人ならすいません。コリマ・ユカギール語にでもしといてください)
まだアラビア語ならマシな方です。今から勉強すれば数日で最低限の会話はできるでしょう。
しかしこれが未知の言語なら?
あなたは勉強のしようもないですね。周りが言っているのを聞いて意味を推測してなんとか使えるようになるしかありません。
莫大な時間、労力がかかることは言うまでもない上に、その間全く他人と喋ることなく暮らすことなどほぼ不可能に等しいでしょう。
このように言語というのは、関係のない他者を排除する、遠ざける力も持っているわけですね。
新言語にも役割が?
さて、そろそろ本題に入りましょう。
冒頭の僕が3分で作った新言語ですが、これは何かの役に立つのでしょうか?
当然僕が作ったわけですから世界で読めるのは僕だけ、コミュニケーションの手段としては全くもって役に立ちませんね。
しかし先程お話しした、コミュニケーションの阻害としては非常に役に立つ可能性があるんじゃないでしょうか?
例えば僕が試験前に共通テストの解答をこっそり入手したとしましょう。(今では冗談にならないですが…)
見ただけでは忘れてしまいますからこれを記録しておきたい。しかしそのままでは解答を持っていることがバレてしまう。さてどうしたものか…
そんな時こそ新言語の出番です!
いくら見られようが自分しか知らない言語ならなんの問題もなし。周りからはただの文字の羅列に見えることでしょう。
いわば暗号のようなものですね。
数人で言語体系を共有してしまえば、その人たちでしか伝わらず、なおかつ解読の手段が非常に少ないものとなるため強力な秘匿方法となるわけです。
こうしてみると未知の言語もなかなか価値があると思いませんか?
言語で取り残される世界
ここまでは僕の作った言語の話をしてきましたが、ここからはもう少し現実的な話をしてみましょう。
現在世界で最も汎用的に使える言語はなんでしょうか?
そう、英語ですね
その簡単な作りゆえ訛りも少なく、多くの国で簡単に通じる言語として広く使われています。
しかし日本はどうでしょう?
英語教育こそしているものの英語をまともに使える人はごく少数なのが現状です。
つまり世界からみると、日本は未知の言語しか使わない人々に他なりません。
いってしまえば冒頭の僕と同じです。
あんな訳の分からない言葉を使ってくる人とあなたは関わりたいと思うでしょうか?
よっぽど物好きな人でない限り、普通は思わないでしょうね…
初めの方でも言いましたが、言語の違いというのは他者を遠ざけます。全く知らない言語しか使えない人々と関わろうとは普通しません。
もし日本語話者が世界の大多数を占めているなら日本語しか喋れなくても問題はないでしょう。特にコミュニケーションで困ることははないですからね。
ところが現実はそうではありません。世界の多くのデータが英語で書かれることはあっても、日本語で書かれることはないのです。
英語を勉強するということは、「他の国の人と関わるため」のものではありません。
「他の国の人から仲間はずれにされないため」のものなのです。
平安時代とか江戸時代までのように他国との交流が少なかった時代なら日本国内で通じる言語があれば十分でした。
しかし今や情報は簡単に海を越え他国に渡ってしまいます。そしてそれらの多くは英語を媒体とするのです。
もはや「英語が分かると有利」ではなく「分からないと話にならない」時代が来ています。
そんな中で日本語しか喋れない、そんな人々は置き去りにされていくでしょう。
そしていずれ日本語は廃れ、世界で1人しか喋れない言語になってゆくのかもしれませんね…
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません